『本物』のモスコミュール復活物語





1991年夏、・・・

当時、私は横浜のとあるジャズバーにバーテンダー見習いとして勤めていました、
一人前のバーテンダーになろうと思い、日々、お店まわりの掃除や、店内清掃、
仕込み、片付け、お酒の発注等をする傍ら、毎日、水割り作りの練習をしながら、
(当時の私は水割りさえ作らせて貰えない状況で毎日練習をしていました。)
そして家に帰れば寝る間を惜しんでは、数々のお酒の本を読み漁っていました。

すると ・・・ あるカクテルブックに目が留まりました。

『 モスコミュール 』

ウォッカ45ml
ライム15ml
ジンジャービアー適量


※無い場合には、ジンジャーエールで代用可

当時のカクテルブックには、そう書いてあることが一般的でした。

当時の私は、『ジンジャービアー』と『ジンジャエール』ってどう違うんだろう? 
 なんて思いますが、・・・

当時は、修行の身、・・・師匠にそのまま聞いても教えてはもらえません。
かと言って、今みたいにインターネットも無い時代です。

修行で得たお金で、数々の本屋さんを回り本を買いますが、
どこにも詳しい事が書いてありませんでした。

ただ、『ジンジャービアー』と『ジンジャエール』が
まったく違う物という事くらいしかわかりませんでした。

恐る恐る師匠にその事を話すと、
じゃあ、『ジンジャービアー』を買って作ってみようという事になり、
当時、横浜市内を探し回りましたが1軒も扱っている所がありません、・・・
(正確には元町にある老舗の酒屋さんに数本あったのですが、何十年もの前の物と云われ・・・)

当時は、『モスコミュール』といえば、ジンジャーエールで
『ディスコ』全盛時代も手伝って、甘くて飲みやすい女性向きと云われたカクテルの定番でした。

そこで師匠が、有楽町西武の 『 酒蔵 』 (当時地下1階にあった、日本最大級の酒屋)
に行けばあるかもしれないとのことで、

一緒に行ってもらい ・・・ するとそこには ・・・
あるは、あるは、今まで見た事もない洋酒が所狭しとならんでいます。

目をキラキラとさせ、しばらく数々の洋酒に見入ってしまったほどです。

その中の、目立たない場所の一角に、
なんと『ジンジャービアー』を見つける事が出来たのです。

それが、初めての出会いでした。・・・

凄く感動した事を今でも覚えています。

早速、6本買って持ち帰り、
(当時は、瓶製でカナダで作られていました)
師匠に作ってもらうと、・・・

なんという表現をして良いのか、今まで飲んだ事がない味わい、・・・

ううまい ・・・ と思わず叫んでしまった程でした。

これは、お客様が喜ぶだろうと、
店長に、数個のマグカップを買ってもらい、
そのお店に数十年以来発の 『 本物 』 のモスコミュールが初めて誕生したのです。

その当時、とっても多くのお客様にも喜んでもらい、
お店の『名物』カクテルとなりました。


その後、師匠が退店し、のち私もその店を退店し、

そして、今のお店に移り、
少しずつ『本物』のモスコミュールを広げてきました。・・・






そして、現在 ・・・

おかげさまで、今のお店になくてはならない『カクテル』に
育てて頂きました。


皆さん、ありがとうございます。








店主 奥山 毅

DEX.Bldg.1992 2F 3-36 Sumiyoshi-cho,
Nakaku, Yokohama-shi, Kanagawa
TEL 045-663-1079

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